クラッチ整備&一次減速比変更


純正、JUN International

記事中の表を参照

ホンダサービスセンター狭山にて購入

10月末にオイル交換した際にGRPを添加したのだが、ちょっと量が多かったようでクラッチが滑るようになった。 SP武川の強化クラッチに交換してから1年半。 走行距離にして1万kmを過ぎたあたりだ。 マフラーをSuperTrappに交換して全開走行したりしたので、クラッチに負担を掛けたのも一因かもしれない。

通勤車両なので、騙し騙し走っていたのだが、そろそろ限界。 タイミングよく(?)一次減速比を変更したいという動機が発生したので、ついでにクラッチ整備を行うことにした。

純正部品で購入したのは下記の通り。 クラッチのフリクションディスクは交換が必要か不明だったが、念のため用意した。

部品番号 部品名称 個数
22201-GW8-681 ディスクA,クラッチフリクション 2
22331-GW8-681 ディスクB,クラッチフリクション 1
23110-098-740 ギヤー,プライマリドリブン(67T) 1
23112-041-050 アウター,ドライブギヤー(18T) 1
23120-041-000 ギヤー,プライマリードライブ(18T) 1
90431-086-000 ワッシャー,ロック 14MM 1
90601-001-000 サークリップ,エキスターナル 17MM 1

ただクラッチをバラしてフリクションディスクを交換しても、また滑るかもしれない。 現状よりも強化する必要がある。 そこで強化クラッチスプリングに交換してみることにした。 巷の話ではJUN Internationalの物が最強ということなのでお取り寄せ。 ガスケットも付属しているので便利だ。

エンジンを下ろして整備するのは、ボアアップした時以来。 本当はこんな寒い時期にやりたくはなかったのだが。

オイルストレーナーに、フェルト状のカスが溜まっているのではないかと覚悟していたのだが、ほとんど何もなくてちょっと拍子抜け。

クラッチカバーの皿ねじを外すのが毎度難儀なのだが、電動インパクトがあればカンタン。 ロックナットも緩められる。

クラッチカバーの内側には、粘土状のスラッジが溜まっていた。

左がノーマルのドリブンギヤ(69T)。 右が交換する67Tのドリブンギヤ。 歯数が違う以外は同形状。

ドライブギヤも歯数が違うだけで、内径、厚みとも同じだ。

いよいよ遠心クラッチのバラシに入る。 このクラッチは、ボアアップした時に交換したSP武川のもの。 センターのサークリップと波ワッシャ、外側のリングを外す。

フリクションディスクを取り出すと、遠心クラッチ独特のウェイトが見えてくる。 8枚×4=32枚仕様だ。

表側の十字なべ子ねじを外して、ドライブプレートを取り除くと、ようやくクラッチスプリングとご対面。

左側がSP武川のクラッチスプリング、右がJUNの強化スプリングだ。 純正クラッチはバラしていないので、どれくらいの強さなのかわからない。 測定していないが、素線径は少し太いようだ。 上から押した感触では、SP武川に比べてJUNの方が1.5倍はばねレートが高い感じだ。

遠心クラッチの場合、クラッチスプリングが直接フリクションディスクを押さえつける訳ではない。 回転していない状態では、フリクションディスクはほとんど抵抗無く回転する。 シフトペダルを踏み込むと、シフトアームがボールリテーナーの位置をずらして、クラッチアウターカバーが内側に押し込まれる。 これでクラッチが切れるのだが、クラッチアウターカバーを元に戻すのが、クラッチスプリングの反力だ。

一方クラッチウェイトは、回転数が上がると遠心力で振り子のように動き、フリクションディスクを押し付ける。 よって遠心クラッチの伝達力を決める一番大きな要素は、クラッチウェイトの数である。 だが、いくらクラッチウェイトが押し付けても、クラッチスプリングのプリロード以上の力は伝えられない。 スプリングが撓んで力が逃げてしまうからだ。

フリクションディスクは、すっかり削れてツルツルになってしまったのではないかと思っていたのだが、そんなことはなかった。 ただ、すっかりGRPを含んでしまっているだろうし、交換してしまおう。

こちらが純正フリクションディスク。 機種により材質が違うみたいだが、特性がどう違うのかわからないので、ジョルカブのディスクにしてみた。

ここまでは順調だった。 というか、まだ気付いていなかった。 ドライブギヤー・アウターを見比べるまでは。 こちら側がドライブギヤがはまる部分。 内径がSP武川(Φ32)に対して、18T用はΦ34.5となっている。

裏面を見ると、SP武川の方はΦ38深さ10mmで段付きになっている。 ドライブプレートの方もそれに合わせて段差があり、これでは18T用ドライブギヤー・アウターは取り付け出来ない。 これで作業継続は不可能となり、今週末の作業は撤収である。 また不動車になってしまった...

側面も違う。 厚みは同じだが、SP武川の方はサークリップ用の溝がある。 さらに油穴が3箇所開けてあるのだ。 てっきり互換性があると思ったのだが。 最近このパターンが多いな。 orz

追加工してSP武川と同形状にすることは可能のようだ。 ただ問題は加工を引き受けてくれる工場があるかどうか。 試しに近所の加工業者に電話してみたが、素人からの依頼は受け付けていないらしい。

そもそも何故こんなチョンボを? 流用可能だと思ったのだろうか? 特集:一次減速比についてを見直してみる。 すると、ジョルカブ用遠心クラッチにはサークリップもドライブプレートの段差もなかった。 C90のパーツリストも見てみたがこちらも同じ。 どうやらSP武川の強化遠心クラッチは純正と形状が違うみたいだ。 ちなみにシナエンジンの遠心クラッチにも、サークリップ付きの物があるらしい わざわざコストが掛かることをしているということは、それなりの理由があるのだろう。

じゃあC90のドライブプレートに交換してやれば、18T用ドライブギヤー・アウターを取り付けることができるかも!? と考えたのだが17T用と18T用とでは、どうもドライブギヤー・アウターの内径が違うっぽい。 そうなるとドライブプレートのボス径も違うのではないだろうか?

八方塞がりかと思ったのだが、ふと思いついてCRF70のスペックを確認したら、なんと一次減速比が3.722だった。 6Vモンキーじゃなくて、最初からこちらを流用するべきだったのか。 でもCRF70のドライブプレートはC70/C90と同じだった。 さらに言えば、ドライブギヤー・アウターは6Vモンキーと同じ。 違うのはクラッチセンターとドリブンギヤだけだ。 どちらも6Vモンキーから変化点はないように見えるのだが。

ここで選択肢は2つ。 ドライブギヤー・アウターを追加工するか。 それともCRF70の部品を流用するかである。

出来ればSP武川の設計を生かしたいところ。 そこで、以前にトランザルプのキャリパーサポートの製作でお世話になった桜井工機にドライブギヤー・アウターを追加工できないか相談してみた。 だが「S45Cを窒化してあるなら加工出来るだろう。SCMの場合は難しい」とのこと。 材質を確かめる術はないのであっさり断念。 CRF70方式でいくことにした。

部品番号 部品名称 個数
22351-178-020 プレート,ドライブ 1
22120-GCF-670 センター,クラッチ 1

ところが、クラッチセンターのみ欠品で入荷が一週間以上遅れるとのこと。 写真左がSP武川のドライブプレート、右がCRF70純正のもの。 ホンダ純正部品は、サービスパーツで取ると結構バリが多い印象。

反対側。 全体的にSP武川の方が丁寧な作りだけど、クラッチスプリングのポスト部はねじ穴がセンターに来ていない。

SP武川はクラッチウェイト32枚仕様で、CRF70純正は28枚仕様。 単純に流用だとグレードダウンになってしまう。 そこでCRF70純正の切込みを広げて32枚仕様にする。 両肩1mmずつ削って、2mm広げればOK。 フライス盤持ってればラクだが、そんなものなくても鋳鉄は削り易いので、平ヤスリで1時間も削れば完成する。

ちゃんと32枚仕様になってるでしょ?。 ドライブプレート以外はSP武川の部品を流用している。 あとはクラッチセンターが届くのを待つばかり。

思ったより早くクラッチセンターが入荷した。 右がCRF70の物。 SP武川のクラッチセンターに、CRF70のドライブギヤー・アウターを入れると動きが渋かったのだが、ホンダ純正同士の組み合わせならそんなことはない。

クラッチ小組完成。 いよいよエンジンへの組み付けだ。 まずクラッチにエンジンオイルを垂らして回転させて馴染ませる。

クラッチを取り付け、シフトアームその他のパーツを間違えないように取り付けて、Rクランクケースカバーを取り付けてエンジンが完成。

エンジンを車体に載せてエンジンを掛けたら、Rサイドヘッドカバーから盛大にオイル漏れ。 orz よく考えたら、オイルクーラー取り出し口をつけているので、純正のガスケットではNGなのだった。 作業を中断して2りんかんへ買いに行ったが在庫無し。 仕方なく何用か知らないが面積の大きなガスケットを買ってきて自作した。

作業が終わったのがもう夕方で、今にも雨が降り出してきそうだったので、急いで撤収して犬の散歩に行ってきた。 試乗もせずに通勤に使う度胸はないので、翌日はトランザルプで出勤。 帰宅してジョルカブに乗ってみたのだが、クラッチが重い!ていうか切れん!! スロットル全閉にしないとシフトしてくれない。 こりゃ困った。 強化スプリングのせいかしらん? まだクラッチ調整してないから、それで直るかなぁ(ちょっと弱気)

結局、その週はトランザルプで出勤。 週末になってようやくクラッチ調整に着手。 ナットを緩めて、アジャストボルトを右に回すと、なんと一回転半も回った。 どうりでクラッチが切れないワケだ。 サービスマニュアル通りに「重くなるまで回して1/8戻し」で調整完了。

いよいよ試乗。 走り出そうと1速に入れる。 「へっ?」っていうくらいシフトペダルが軽い。 3週間も乗ってなかったせいか。前より軽く感じるくらい。 走り出して2速→3速→4速とシフトアップ。 スパッと切れるよ、ママン! もちろんクラッチの滑りは皆無。

もうだいぶ前のことで忘れてしまったのだが、これが純正クラッチの操作感覚だっただろうか? 確かに普通のカブって軽やかにシフトしてるように見える。 SP武川の強化クラッチに換えた時、「ペダルが重いなぁ」と思ったものだが、強化しているからそういうものなんだろうと思っていた。 同じウェイト枚数で、もっと強力なスプリング使っているのに、踏力が軽いのはなぜだろう? 例のクラッチ内部の構造の違いからだろうか?

一次減速比を高めたので、ドリブン・スプロケが31Tだった頃と同等の感覚で走れるようになったし、面倒だけどやってよかったと思う。

星:★★★★★

コメント:苦労のかいはあった