二次側クラッチ換装


純正

記事中の表を参照

ホンダサービスセンター狭山にて購入

120ccエンジンPE24ハイカムでパワーアップを果たした訳だが、強化してあるとはいえ一次側クラッチがいつまで持つかは分からない。 クラッチが駄目になるまえに、次のステップを考えておく必要がありそうだ。

一次側クラッチで出来ることはもうなさそうなので、二次側クラッチへの換装の検討に入った。

オークションを見ていたら、C100EXのRクランクケースカバーが出品されていた。 入札したら競合することもなく落札できた。

部品番号 部品名称 個数
11330-GN5-910 カバーCOMP.,R.クランクケース 1
11394-035-010 ガスケット,R.クランクケースカバー 1
15651-GN5-911 ゲージ,オイルレべル 1

クラッチレバーなどの小物部品も、ちゃんと付属している。

部品番号 部品名称 個数
22810-GN5-910 レバーCOMP.,クラッチ 1
22820-GN5-940 プレートCOMP.,クラッチリフターカム 1
22830-GN5-910 ボス,クラッチリフター 1
22836-GN5-910 ローラー,クラッチリフター 3
90515-GN5-910 ワッシャー,プレイン 4X8 3
94540-03019 Eリング 3MM 3
22846-GN5-910 ボルト,クラッチアジャステイング 1
94030-08000 ナット,6カク 8MM 1
90485-040-000 ワッシャー 8MM 1
91303-001-000 Oリング 8MM 1

クラッチレバーはこういう配置になる。

ドライブギヤー(ワンウェイクラッチ)も落札した。 しかし、これはおそらく支那エンジンには使用出来ないだろう。 何故なら支那エンジンには、オイルポンプの駆動ギヤの厚みがあるからだ。 Wave110(NF110)のドライブギヤーが必要だ。

ドライブギヤーの中にワンウェイクラッチが内蔵されている。

と、ここまでは単なるFSだったのだが、ある日出勤途中でクラッチが切れなくなって立ち往生してしまった。 なんとか会社に辿り着いたものの、不動状態に。 一週間後にはマレーシア出張に行く予定だったので、急遽対応策を考えなければならない。

まずは二次側遠心化に必要な部品のリストアップ。 特に重要なのはクランクシャフト。 一次側クラッチとはもちろん、二次側マニュアルクラッチともクランク端の形状が異なる。 Wave110のクランクシャフトが必要だ。

問題は、タイで販売されていたWave110の部品を、マレーシアで入手できるかどうか。

リスクを少なくするために、日本で入手可能な物は出張前にあらかじめ揃えておくことにした。 クラッチはC100EXの部品で揃えた。

部品番号 部品名称 個数
15661-GN5-910 プレート,オイルセパレーター 1
22110-GN5-910 アウターCOMP.,クラッチ (69T) 1
22120-GN5-910 センターCOMP.,クラッチ 1
22350-115-020 プレート,クラッチプレッシャー 1

小物部品も発注。

部品番号 部品名称 個数
22361-GN8-920 プレート,クラッチリフター 1
23112-GN5-910 カラー,クラッチセンター 1
23216-GN5-910 カラー,ディスタンス 1
23217-GN5-910 セットリング 17MM 1
90050-357-000 ボルト,スペシャルフランジ 6X22 4
90231-087-010 ナット,ロツク 14MM 1
90432-086-000 ワッシャーB,ロツク 1
90462-GN5-910 ワッシャーB,スプライン 17MM 1
92020-06020-0A ボルト,6カク 6X20 2
96100-60000-00 べアリング,ラジアルボール 6000 1

見た目はジョルカブのものと変わらないが、二次側遠心用はギヤーシフトスピンドルおよびアームも型番が異なる。

部品番号 部品名称 個数
24610-GN5-900 スピンドルCOMP.,ギヤーシフト 1
24630-GN5-940 アームCOMP.,ギヤーシフト 1
24641-041-000 スプリング,ギヤーシフトアーム 1
24651-041-000 スプリング,ギヤーシフトリターン 1

クラッチプレートは、ディンプル加工の有無で2種類ある。 ディンプルの機能が不明なのだが、Wave110も含めて最近のモデルはディンプル無し仕様となっている。 当然ディンプル無しの方が価格が安い。 おそらく何か理由があってディンプル加工をしていたのを、他の部分の改良によってディンプル無しにVAしたのだろう。

部品番号 部品名称 個数
22311-107-000 プレート,クラッチ 3

フリクションディスクの選定は、かなり迷った。 何種類か購入して見比べてみたが、当然だが見た目では判断できない。 最後は勘でMR8にした。

部品番号 部品名称 個数
22201-MR8-000 ディスク,クラッチフリクション 4

前回同様、BAN NIH MOTORに部品の手配を依頼した。 必須部品は全て入手できたので一安心。 もっとも、帰りのスーツケースが重量オーバーになってしまったので、パーツは機内に持ち込むハメになったが。

部品番号 部品名称 個数
13000-KFL-850 CRANKSHAFT COMP. 1
15341-KFL-850 GEAR, OIL PUMP DRIVE 1
15100-KFL-851 PUMP ASSY., OIL 1
91001-GS4-760 BEARING A, RADIAL BALL, 6304 1
94303-03050 PIN, DOWEL, 3X5 1
15431-HF7-010 COVER, OIL FILTER 1
15439-HF7-000 GASKET, OIL FILTER 1
22600-KFL-D00 PLATE ASSY., PRIMARY DRIVE 1
22660-KFM-900 OUTER ASSY., PRIMARY CLUTCH 1

部品表の続き。

部品番号 部品名称 個数
90083-KFL-850 BOLT, SPECIAL FLANGE, 5X8 3
90433-KW7-900 WASHER, 17X23X3 1
11330-KEV-900 COVER COMP., R. CRANKCASE 1
11394-KFL-850 GASKET, R. CRANKCASE COVER 1
22810-KFM-900 LEVER COMP., CLUTCH 1
22823-KFL-850 PLATE, CLUTCH LIFTER CAM 1
22840-KFL-850 LIFTER COMP., CLUTCH 1
91202-KFL-841 OIL SEAL, 13.8X24X5 1
22361-KFM-900 PLATE, CLUTCH LIFTER 1
22401-KFL-850 SPRING,CLUTCH 4
96100-62000-00 BEARING, RADIAL BALL, 6200 1
24301-KFL-850 DRUM, GEARSHIFT 1

正月休みに軽トラを使って会社からジョルカブを引き揚げ、エンジンをバラしてみた。

Rクランクケースカバーを開いてみると、クラッチがグラグラする。 ロックナットが緩んだのかな?と思ったら、ポロッと取れた! なんとクランクシャフトが折れていたのだ。 ブレたドライブギヤが、オイルポンプ側面に接触して削れていた。

果たしてどの時点で折れたのか不明だが、よくまあこんな状態で会社まで辿り着けたものだ。 オイルストレーナーには、クランクとオイルポンプの金属粉がビッシリと溜まっていた。

とりあえず全バラにして清掃する。 オイルポンプはWave110のが使えそうなので、どのみち交換するつもりだった。 ところがちゃんとサイズに合ったビットを使ったにも関わらず、皿ねじが柔らかくてナメてしまった。 結局、電動ドリルでボルトの頭をもんで取り外した。

前回はミッション・ベアリングの交換は行なわなかったが、今回は金属粉のこともあるので交換する。 反対側から叩き出せるところはいいが、そうでないところはベアリングリムーバーが必要だ。 そんなものはないので、カセットコンロで炙って取り出した。

清掃も終わり、ベアリングの圧入が完了したクランクケース。 これから組み立て作業である。

まずオイルポンプ。 左がWave110用で右が支那。 支那の方は、取付穴が皿座ぐりされている。

ポンプの厚みは、Wave110の方が1.5倍くらいある。 支那は一次側クラッチと干渉しないように設計されている。 ギヤの歯数、モジュールは同じだった。

次にシフトドラム。 Wave110用(左)にはギヤポジションスイッチのコンタクトプレートを位置決めするための溝が切ってある。 それ以外は、国内の4速ロータリーと共通。

ところが、Wave110のコンタクトプレート(左)を付けようとしたら、クランクケースの穴が全然小さい。 支那のコンタクトプレート(右)と比べれば一目瞭然。 仕方なくこれまで通り、支那のスイッチを流用することにする。

難関だったのが、クランクベアリングの圧入。 焼き嵌めでなんとか入れたが、一時間以上掛かってしまった。 出来れば内燃機屋さんにやってもらった方がいい。 オイルポンプ駆動ギヤは、ピンで廻り止めされている。

ミッションは3速にHA06用を組みこんだ。

メインシャフトに組み込むカラーの組み合わせ方には少し頭を悩ませた。 クラッチからの軸方向の力を受け止める為に、メインシャフトの溝に厚ワッシャが入るようにする。 ドライブスプロケットのフィキシングプレートを思い起こせば理解できるだろう。

ドライブギヤーの比較。 左のC100EXに比べて、Wave110用は4mmほど長さが短い。

ドライブプレートは流用できなくもなさそうだが、Wave110用(左)には3つの支点ピンをつなぐブリッジのようなプレートが入っている。

ワンウェイクラッチと噛み合うセレーションのボス高さが違うが、これが後でトラブルの元に。

クラッチリフタープレートは、C100EX用(左)を買ってあったのだが、Wave110用はベアリングが1系列大きい物が使われている(内径は同じ)。 クラッチスプリングの強化に合わせて、スラスト力への耐性を高めたのだろうか? 互換性があるようなので、Wave110用を使用する。

クラッチスプリングについても、使えそうな純正品をいくつか購入して、寸法を測定してみた。 その中から一度はXR100R, XR100モタード用(右)に決めたのだが、Wave110用(左)が入手できたのでそれを使うことにした。

Rクランクケースカバーは、計測はしなかったがC100EX(右)と互換性ありそうに思える。 Wave110用はギヤーシフトスピンドルが入る穴にニードルベアリングが入っている。

C100EX(右)の方が面取りされて小さく見えるが、カバーの厚みは似たようなもの。 Wave110にはプロテクターが付くのだが、ジョルカブの場合は必要ない。

最初にクラッチを組んでから、ドライブギヤをセットすればいいだろうと思っていたのだが、ドリブンギヤとクラッチアウターの径が同等なので、後からドライブギヤをセットできない。 おまけに、クラッチをセットする時は、オイルセパレータープレート(クラッチ下側の皿みたいなやつ)も一緒にセットする必要がある。 ドライブギヤがあると、クラッチリフタープレートを締め付けるのがまた大変。

元々が一次側クラッチの基本設計に二次側クラッチを組み込んであるので、知恵の輪に近い組み立てになっている。

Wave110のクラッチレバーは、ブレーキシューのようなものが付いている。 ドライブギヤにブレーキを掛けるようになっているようだ。 スピンドル先端に細い筋が入っていて、シフトレバー側の点を合わせてセットする。

Rクランクケースカバーを閉めて完成。 ルックスはもはや完全にタイカブのエンジンだね。 下セルだけど。

Rクランクケースカバーが一次側クラッチよりも大きくなるのは自覚していたものの、実はここまで何も検証せずにきていた。 「たぶん大丈夫」と高をくくっていたのだ。

実際に載せようとしたら、ギリギリもいいところだった。 プロテクターは付けようと思っても付けられない。

フレームの内側に、ハーネスやケーブルのガイドなどが出っ張っていたので、サンダーで削り落とした。

イグニションコイルの取り付け位置の真下に、オイルフィラーキャップがきてしまう。 狭くてサンダーが入らないので、コイルの取り付けブラケットを叩いて折り曲げた。 コイルはインシュロックで適当に固定。

しかし最大の問題は、R側アッパーエンジンマウントのブッシュが、Rクランクケースカバーと干渉することだった。

こりゃダメかなと諦めかけたが、L側のブッシュからマウントボルトを通せば、無理やりマウントできた。 その程度の干渉ならと、ブッシュケースの下側を溶接ビードごとサンダーで削ってみた。 仕上げに平ヤスリで形を整える。

ケースに当たるか当たらないかの微妙なクリアランス。

搭載を終えて、いよいよエンジン始動というところまで漕ぎ着けたのだが、セルが回らない。 一ヶ月以上放置していたからな、と充電してみたがそれでも回らない。 プラグを外してもダメで、再びエンジンを下ろすハメに。

原因の1つは、カムスプロケットの取り付けを180度間違えていたこと。 念のためにヘッドを外してみたが、IN/EXバルブは無事だった。 だがそれでもまだクランクシャフトを手で回すと重たい感じがする。

Rクランクケースカバーを外そうとしたら、なかなか外れない。 ようやく外したら、クランクシャフト先端(Rクランクケースカバー内側の穴に入る部分)がカジったような跡があった。 カバーをはめようとすると、今度はなかなかはまらない。 クランクシャフト先端にマジックで色を付けて、カバーを被せてみたら、穴から1mm以上ずれた位置に跡が残った。

クランクを回転させてみても、目視確認できるほど振れてはいない。 あまり考えづらいことだが、クランクケースの芯が出ていなくて、クランクが斜めになっているようだ。 もちろんクランクケースやカバーの合わせ面には、HM純正ノックピンが入っている。

しょうがないので、Lクランクケースカバーやスターターモーターも外して、クランクケース締め付けボルトを全て緩める。 そしてRクランクケースカバーを取り付けた状態で、クランクケースを締め付けた。 クランクシャフトのフリクションは明らかに少なくなった。

二次側遠心のクランクシャフトは、一次側遠心に比べて長いこと。 そしてRクランクケースカバー内側の穴にクランクシャフトが入る構造が、トラブルを顕在化させたようだ。 だが、もしかすると支那クランクが折れたのも、この芯ズレが原因の一つだったのかもしれない。

カムスプロケットと芯ズレを直したら、エンジンはあっさりと始動した。 ところがニュートラルから1速に入れたとたん、ガツン!とエンストしてしまう。 どうやら遠心クラッチ部分が固着してしまっているようだ。

みたびエンジンを下ろして、Rクランクケースカバーを外す。 ちゃんと芯が出ているからか、今度は簡単に外れた。 クランクを正転させると、ドライブプレートがカラ回りしなければならないのだが、ドライブギヤまで回ってしまう。 念のため、ワンウェイクラッチをバラしてみたが、ゴミ噛みなどはなかった。

クランクシャフトの段差は、ドライブプレートから0.5mm程度出ている。

Wave110のドライブプレートにワンウェイクラッチのインナーを被せてみると、ドライブプレートのスプライン軸が3mm近く引っ込んでいる。 この状態だとロックナットの締め付け力が、ドライブプレートを介してドライブギヤをクランクベアリングに押し付けることになり、ドライブギヤが空回りしなくなるのだ。

ちなみに、C100EXのドライブプレートだと、ほぼ面イチになる。 これならロックナットを締め付けても、ドライブギヤを横から押すことがない。

この原因は、クランクシャフトとドライブプレートの年式のアンマッチにある。 クランクシャフトはNF110X用(13000-KFL-850)なのに対し、ドライブギヤやドライブプレートはNF110Y,1用(22600-KFL-D00)なのだ。 NF110Y,1用クランクシャフト(13000-KFL-D00)なら問題は起こらなかっただろう。

ひとつ言い訳をすると、Wave110のパーツリストではX型と1型のクランクが850で、Y型がD00になっている。 だから互換性があるのかなと思っていたのだが、これはミスプリントで1型もD00なのだろう。

結局ドライブプレートはC100EXの物を使用した。 ロックナット締め付け後も、ドライブギヤが空回りすることは確認した。

エンジンを搭載して、エンジン始動。 発進も問題なし。 試走がてら、ホームセンターまで走りに行く。

驚いたことに、エンジンの振動が激減した。 支那はおろか、JUNの96cc用クランクシャフトよりも全然小さい。 そして、シフトチェンジの踏力が無茶苦茶軽くて、シフトの入りも抜群にいい。

一次減速比が下がって全体にローギヤードになったので、加速力がものすごい。 トルクがあるので、4速に入れたままオートマ的に運転することも出来る。 間違いなく、これまでで最高の出来栄えだろう。

とはいえここまで来る道のりは、平坦なものではなかった。 支那エンジン換装も二次側遠心化も、自ら望んだ訳ではなく必要に迫られての事だったが、正直ここまでやるならリード110でも購入した方がよっぽどマシだと思う。

星:★★★★★

コメント:苦労の甲斐はあったものの