ホンダ狭山サービスセンターにて購入
FRフォークをZX化したときから、オーバーホールは課題の一つだった。 幸いポン付けでも、バネレートや減衰力に不足を感じることはなかったのだが、中古品だったし劣化しているだろうことは予想できた。
気になる点がなかったわけではない。 ブレーキング時の踏ん張り感は良好なのだが、アスファルト表面が剥がれているような路面の不整を通過すると、吸収しきれなくて跳ねてしまうのだ。 交差点内などにそういう不整があると、少々気を使うことになる。
とはいえFRフォークの分解は大変面倒だ。 結局先送りしたまま3年も経ってしまった。
そんなとき、Live Dio ZX(AF35)の金サスと銀サスの特性の違いについて説明しているサイトを見つけた。 どうやら金サスは減衰力が強すぎて、銀サスの方が動きがいいらしい。 その特性の違いは、シートパイプに開いている穴の大きさや位置にあるようだ。
金サスについては、自分が感じていた印象と一致する。 元々ZX化するときも、地味な外観の銀サスが欲しかったのだが、折悪しく落札できなかったのだった。
俄然好奇心が刺激されてしまい、部品を揃えてオーバーホールしてみることにした。
ところが発注したところ、肝心の銀サス用シートパイプ(51440-GBL-751)はご相談部品になってしまっていた。 仕方なくSmart Dio Z4(AF63)用のシートパイプ(51440-GEV-761)に変更した。
AF63も金サスなのだが、シートパイプなど内部部品の型番(GEV-761)が違う。 もしかしたら、AF35の金サス(GBL-881)とは特性が違うのではないかと考えたのだ。
| 部品番号 |
部品名称 |
個数 |
| 51437-GE2-003 |
リング,ピストン |
2 |
| 51440-GEV-761※ |
パイプ,シート |
2 |
| 51449-GBL-751 |
キャップ,フォークパイプ |
2 |
| 51456-GBL-751 |
リング,ストッパー |
2 |
| 51490-GZ0-305 |
シールセット,フロントフォーク |
2 |
| 90544-283-000 |
ワッシャー,スペシャル 8MM |
2 |
| 90601-383-721 |
リング,オイルシールストッパー |
2 |
| 91356-GBL-751 |
Oリング,18.8X2.4 |
2 |
※シートパイプは流用したので使用せず
AF63のシートパイプは、伸び側(写真では左側)の穴の大きさ(Φ2.0)、位置(23mm)は銀サス(GBL-751)と同じだった。
圧側はΦ5.0の穴が、18mmと28mmの位置に開いていた。 貫通はしていないので、穴の数としては2個ということになる。
そのフォークオイルであるが、トランザルプでの経験からすると、ホンダ純正の#10は結構硬いし、値段的にも大して安くない。
トランザルプで使ったオーリンズの#10の余りがあるのでそれでも良かったのだが、WPのオイルも良いということなので買ってみた。
必要な部品も揃い、いつでも作業できる状態になったのが昨年10月頃。 しかし仕事が忙しくなったのもあって、イマイチやる気が出ず放置していた。
新年度になって仕事も一段落ついたので、五月連休で作業することにした。 ブレーキパッドを見てみたら、残り1mmくらいになっていた。 近いうちに交換しなければ。
フロントフォークASSYを取り外して最初の難関が、スプリング・アッパーシート(51454-GBL-751)を固定しているストッパーリング(51456-GBL-751)を外す作業だ。 プラスドライバーなどで上からスプリング・アッパーシートを押し下げて、小さいマイナスドライバーでストッパーリングを外す。 万力などで固定できればラクなのだが、なくてもなんとか作業できた。
次の難関がボトムケースの底にあるボルトを緩める作業。 電動インパクトで緩めようとしたら、KTCの6mmヘキサゴンソケットでは1mmくらいしか六角穴に掛からない。
しょうがないので、ジスクグラインダーで面取りして届くようにした。 ところが電動インパクトのパワーでは緩めることができなかった。 XR250(MD30)のフォークでも緩んだのに。
工具箱の中を漁ったらパイプレンチがあったので、ボトムケースを喰わえさせたら六角レンチで緩めることができた。
出てきたフォークオイルは当然真っ黒だったが、シャバシャバで粘度が感じられなかったのが印象的だった。
分解清掃して、内部パーツを確認していく。 驚いたのは、シートパイプ(51440-GBL-881)の長さ(全長114.5mm)がAF63用(全長99.5mm)より15mmも長いこと。
伸び側の穴の大きさはΦ1.3と小さく、位置はアゴ下から23mmだった。 圧側はΦ5.8の穴が18mmと23mmの位置にそれぞれ貫通して開いていた(つまり計4個)。
リバウンドスプリング(51412-GE2-003)は金銀共通なので、シートパイプが短いということはサスペンションストロークが短くなる。 AF63はフロントクッションスプリングの型番も違う(AF35は金銀共に 51401-GBL-751、AF63は 51401-GEV-761)ので、ばね定数や自由長を変えて、底突きしないようにしているかもしれない。
シートパイプが短いと、そのままではフロントフォークASSYの長さも短くなる。 実際に短い可能性もあるが、フォークパイプの型番が違う(AF35は金銀共に 51410-GBL-752、AF63は 51410-GEV-761)ので、AF63用はフォークパイプが15mm長いのかもしれない。 その場合、フロントクッションスプリングも長くなる。
AF63用を使うのは諦めたが、元のシートパイプをそのまま使うのも芸がない。 2.0mmのドリルがあればよかったのだが、あいにく手元になかったので、オリフィス穴の入り口を面取りして、オイルストーンでバリ取りをした。
シートパイプのピストンリングの型番はAF35金サスが 51437-GBL-881(グレー)、AF35銀サスおよびAF63金サスが 51437-GE2-003(白色)となっている。 今はGE2-003に型番統合されたようだが、なぜAF35金サスで専用型番を起こしたのか謎だ。 色が違うので、材質も違うのかもしれない。
フロントクッションスプリング(51401-GBL-751)は流用する。 外径21.5mm、自由長228mm、素線径3.3mmだった。 密に巻いてある方が上側になる。
オイルシールを打ち込むときは、フォークオイルを塗ってから古いオイルシールを上に載せて、プラスチックハンマーで叩いて入れる。 オイルシールストッパーリング(90601-383-721)を入れるのを忘れないように。
今回オーバーホールしたフォークは、生産されてから10数年経っているハズだが、ダストシールを含めてオイルシールの痛みはそれほどでもなかった。 5、6年くらいなら交換しなくてもいいかもしれない。
フォークオイルは68cc程度ということなんで、1/3カップ(67cc)入れてみた。 ついでなんでGRPを数滴混ぜてみた。
組み立て時もスプリング・アッパーシートのストッパーリングをはめるのに一苦労。 だが、これにはコツがあった。 ボトムケースではなく、フォークパイプを持って上からアッパーシートを押すと、少ない力で押し下げることができる。
テレスコ化したときは、ジョルカブのフェンダーを使ったので、フォークパイプが飛び出さないようにする必要があったが、外装交換したときにクレア・スクーピーのフェンダーに換えたので、今回は正規の位置で取り付けた。 これでフロントが5、6mmは下がるはずだが、ハンドリングにどう影響するだろうか?
跨った限りでは、フロントが下がったことによる違和感はない。 元々が前上がり気味だったので、ノーマルに戻ったともいえる。 エア抜きをするために、FRブレーキをかけて何度も荷重を掛けてみるが、これだけではどう変わったのかはわからない。
翌日、通勤路でハンドリングの確認。 アップダウンのあるワインディングだが、若干フロントに浮遊感があるものの問題となるレベルではない。 フロントが下がった影響も特にないようだ。
続いて、ツギハギ路面の悪路コースへ。 以前だと50km/hも出すとフロントが跳ねてしまって大変だったのだが、細かい不整はサスがよく動いて吸収してくれているのがよく分かる。 まるでタイヤが新品になったかのように、ロードフォールディングがよくなっている。
50km/hからFRブレーキだけを掛けてみる。 フロントの沈み込みは少し速くなっているが、底突きする訳ではないし、荷重が掛かってからは安定しているので不安は感じない。 当然だが、RRブレーキも同時に掛ければ、より姿勢は安定する。
フロントフォークのオーバーホールは面倒なのだが、やってみると「もっと早くやっておけばよかった」と思うくらい効果がある。 フロントフォーク・シールセットを交換しないなら費用も安いので、工具さえあるならオススメする。