井上ボーリングにて加工
125ccにボアアップして、現在のエンジンではほぼ限界(ボア54mmなら127ccになるが)の排気量に到達した。
JUNの97cc〜105ccハイカムは、いろいろと試した結果、知る限りでは最良の選択肢と考えられる。
排気系は、路面とのクリアランスや消音性能の点で、SuperTrapp以外に選択肢がない。 もっとも、最近ディスク枚数を9枚に増やしたら、抜けが良くなって伸びが良くなった(ついでに始動性も向上)。
キャブレターについては、26〜28mmのより大口径のものに交換すれば出力を向上させることは可能だ。 しかし燃費や扱いやすさ、張り付きの問題を考えると、PE24で留めておくのが正解ではないだろうか。
点火系は進角(CDI)についてまだ追求の余地(例えば1〜4速それぞれに点火マップを持たせたデジタルCDIとか)はあるが、10,000rpm以上の高回転まで回すことはないので、やっても費用対効果は少ないだろう。
あと他に弄れるところというと、もはやシリンダーヘッドしか残されていない。
この支那エンジンのシリンダーヘッドは、C100EX(97cc)のビッグフィンヘッドの忠実なコピー品である。 バルブサイズも、IN:23mm、EX:20mmで互換性がある。 元々このバルブサイズは、スーパーカブC90やCD90(85cc)と同じである。 125ccにはちょっと小さいといえるだろう。
スパヘなど社外品のヘッドに交換できれば話は早いのだが、支那エンジンのカムスプロケットは32Tと大きく、28Tが前提の国産ヘッドは適合しない。 NICE110を使ったレースが盛んだったタイでは、レース用社外品でもっと大きいバルブを採用したシリンダーヘッドが存在するが、補修部品の供給を考えると純正流用あるいは国内メーカー品を使いたい。
そこで支那ヘッドを改造して、ビッグバルブ化を試みることにした。
まずバルブサイズについてだが、バルブの軸線(挟み角)は変えられないので、おのずと制約がある。 カムを回しながらバルブの動きを確認しつつ出した結論は、「半径1mmずつ大きい、IN:25mm、EX:22mmくらいならなんとかなるかも!?」というもの。
あれこれ考えていても、実物で検証してみなければ判断はできない。 ビッグバルブを調達しなければならないのだが、今回はJUNインターナショナルの補修用部品を使ってみた(PEGASUSより購入)。 実測してみると、純正バルブよりも全長が1mm程度短かった。
純正バルブにタペットを合わせた状態で、支那ヘッドに入れてみる。 軸が短いのと傘が大きい分で、バルブステムとタペットのクリアランスが2mm程度ある。
この状態で96ccカムを回してみると、意外にもバルブ同士の干渉はなかった。 オーバーラップ時に最接近するタイミングで、クリアランスは0.3mm程度だ。 安心して使う為には、純正バルブと同程度のクリアランス(約0.8mm)は必要だろう。
ヘッドの加工は、井上内燃機に相談した。 通常ならシートリングの打ち替えをするところだが、費用を抑えるために当たり面を追い込むのとシートリング内径拡大(+2mm)のみお願いした。 シートリングの外径がバルブサイズギリギリだったので、当たり面を内側に寄せてもらった。
当たり面の追い込みは、バルブスプリング側のステム突き出し寸法が、純正+0.5mmになるように設定した。 JUNのバルブ全長が短いこともあって、最終的に2.5mm程度追い込むことになった。 ここまで削るとシートリングが脱落する恐れがあるので、真似しようという方にはシートリングの打ち替えをオススメする。
バルブシート周りを彫り込んだので、燃焼室容積が大きくなった。 ヘッド0.5mmを面研して、容積が増えた分を相殺する。 スキッシュエリアが小さくなってしまったので、燃焼室の加工が必要だ。
この状態で、バルブ同士のクリアランスは最接近時で0.8mm程度になった。
スキッシュエリアを掘るためにはリューターが必要だ。 家庭で使う場合はエアではなく電動タイプになる。 アクセサリー加工用の細いリューターだとパワーがない。 電動ドリルにフレキシブル・シャフトを付ける手も考えたが、回転数が低いので断念。 AC電源用の安いリューターを探していたら、シンコーのSHR-300というのを見つけた。 100Wで回転数8,000〜25,000r/minというスペックで\4kだった。
今でもそうだが、一般公道で使うレベルでのポート研磨の効果には懐疑的だ。 もちろん、ホンダ純正50ccヘッドのようにポート径が小さい場合は、拡大する効果はあると思う(バルブ径の制約があるので限定的だが)。 だがポート内壁の平滑化や段差の除去程度であれば、プラセボ効果が関の山だろう。 とはいえせっかくリューターを購入したのであるから、気休めでもポート研磨を実施してみようと思う。
削る前のポートの状態を確認する。 これは吸気側。 マニホールド接合面での口径は約23mm。 マニホールド内径が24mmなので、もう少し拡大できる。 鋳造中子のパーティングラインが残っている。
排気側口径は約20mmで、やや偏芯している。 ステムガイドの肉盛りが大き過ぎる。
研磨作業は、ダンボールで壁を作って、机の上で作業した。
リューター付属のツールでは不十分だったので、追加で購入したツールと研磨布(#150、#240、#400)。 SHR-300で使えるのは軸径3mmのツール。 上段の3つ(特に真ん中)は必需品だ。 下段の砥石はあまり使わなかった。
吸気ポートは24mmに拡大。 奥のステムガイド周辺の肉盛は、リューターでは届かないので、半丸ヤスリで削って研磨布で仕上げた。
排気ポートは短いが湾曲しているので削るのが難しい。 偏芯を修正し、口径を23mmに拡大した。 奥の内壁が荒れたままだが、バルブシートを傷つけると厄介なので自重した。
ヘッド面研後のスキッシュエリア径は47.5mmだった。 ボアが53.5mmなので、半径3mm大きいラインを油性マジックでマーキングして手作業で彫る。 彫り過ぎないように注意すること。 バルブシートを掘り下げているので周囲に壁が出来ていたが、面取りして滑らかにした。
このビッグバルブヘッドを取り付ける前に、支那エンジンのクランクケースが割れてしまって、1年以上お蔵入りになっていた。 その間に、もう一つの支那ヘッドのポート加工をして、101ccエンジンに装着している。 その経験では、1割程度のパワーアップ効果を確認している。
ようやく新しい125ccエンジンが復活したので、このヘッドの出番が回ってきたのだが、以前の125ccエンジンとはカムシャフトもマフラーも違っている。 ビッグバルブ化の効果は正直よくわからないが、吸排気の効率は良くなっているものと信じたい。
32Tのカムスプロケット対応で、ビッグバルブヘッドが市販されていれば、こんな苦労はしなくても済んだのだが、自己満足としても面白い体験だった。
コメント:思ったより安くできたが、オススメはしない