125ccエンジン復活


純正

記事中の表を参照

クランクケースの破損によって、支那エンジンベースからジョルカブ純正エンジンベースに戻った訳だが、あくまでこれは暫定エンジンであって修理を諦めた訳ではない。

二次側遠心用が前提なので、ジョルカブのケースに入るクランクシャフトはC100EX用(49.5mmストローク)だけ。 ボア53.5mmのシリンダーで現在は111ccとなっているが、これ以上を望んでもボア54mm(113cc)が限度だ。

56.5mmストロークのWave110のクランクシャフトを使うには、
 1.Wave110のクランクケースを使う
 2.支那エンジンのクランクケースを使う。
の2つの方法がある。

1.は純正の安心感があるが日本では入手が困難だし、上セルまたはセルなししかないので、ジョルカブの下セルには適合しない。 2.は再び支那エンジンを入手してケースだけ使うか、支那エンジン業者から補修部品として買うかだ。 しかし支那エンジンは派生が多く、前回と同じ仕様のエンジンが入手できるとは限らないし、再びケースが割れない保証はない。

結論としては、セルなしWave110のクランクケースを発注した。 といっても一筋縄ではいかず、最初はマレーシア出張時に発注したのだが、現地ディストリビュータの体制変更の煽りで入手できず、かぶやさんにお願いしてタイから取り寄せて頂いた。

Wave110のRクランクケースは、クランクベアリング(91001-GS4-760)があらかじめセットされている。 そういえば、確かにWave110のクランクシャフトには、Rベアリングは圧入されていなかった。

こちらはLクランクケース。 同じセルなしケースでも、日本のスーパーカブC50/C90とは異なる部分がある。 そしてそれがジョルカブに流用するためのカギなのだ。

その差異というのは、ケース左上のタップ穴だ。 セル付きにも同じ位置にタップ穴があるが、セルなしC50/C90やCD90には、この位置にタップ穴はない。

原動機番号の刻印はなし。 ジョルカブのオリジナルエンジンと同じ番号を刻印しちゃおうかな?

ジョルカブの場合、Lクランクケースにセルベースが装着されるのだが、その取り付け穴がこの位置に開いているのだ。 試しに支那エンジンのセルベースをセットしてみると、穴位置はピッタリ一致した。

とはいえさすがにポン付けという訳にはいかない。 セルベースと干渉する部分があって、ピッタリとセットできない。

どうやら、この壁状になっている部分を削り取ればOKのようだ。

フライス盤で切削できればベストだが、ジスクグラインダーでも問題なく削れた。

上から。 

前から。

次は、シリンダの入る穴の拡大だ。 支那シリンダはスカート外径が大きいので、そのままでは入れない。

R側ケースはベアリングがセットされているので、荷造りテープでしっかりとマスキングしてから作業を行う。

削り過ぎないように、何度もシリンダをセットしては、ハンドリューターで切削していく。 これでケースの加工は完了。

クランクシャフトは、井上ボーリングで芯出しをしてもらったのだが、R側ケースにベアリングが入っているので、クランクシャフト側のベアリングは抜く必要がある。

今までなら井上ボーリングにお願いするところだが、今後のことも考え工具を揃えて自分でやってみることにした。

使用したのは、ストレート製のギヤプーラーセット(19-600)。 締め上げてもベアリングが全然動かなくて、ツールの方が負けるんじゃないかと心配したが、一瞬で「バキン!」と音を立ててベアリングが外れた。

次にケース側に圧入済みのベアリングにクランクシャフトを通さねばならない。 ホンダ純正のSSTを使うところだが、1万円程度するということなので、これもストレート製のクランクインストールツール(19-509)を使ってやってみた。

ところがこのインストールツールは、クランクシャフト先端のネジサイズがM10x1.25とM12x1.25にしか対応していない。 そこでインストールツール付属のナットの代わりに、純正部品のロックナットB(90231-198-000)を使用してみた。

クランクインストールツールの力は、クランクベアリングの内輪に伝わるようにしなければならない。 適当なスペーサー(ここでは一次側遠心のドライブギヤと適当なミッションギヤを重ねた。どちらも不用品で廃却予定のもの)を介して、インストールツール先端のボルトを締め上げていく。

このインストールツールにはスパナ掛けがないので、スペーサー代わりのギヤにパイプレンチを噛ませて締め上げた。

必ずベアリングとクランクウェブが密着しているかどうかを確認すること。 スキマが開いていると、クランクケースを閉じたときに、クランクベアリングに横からの力が掛かる。

カムシャフトは、JUNの97〜105cc用がベストという結論なのだが、111ccエンジンに使ってしまっている。 111ccエンジンは予備にまわすことになるが、カムはそのままにして別のカムを調達することにした。

選択したのは、SP武川のRステージ+D R10カムシャフト(01-08-0010D)だ。 このカムを選んだ理由は、C100EXと同じデコンプ機構が付いているからだ。 125ccともなると、支那エンジンのロングモーターでも苦しそうに回る。 デコンプ付きなら、多少は負荷が軽減されるのではないかと思う。

R15カムは高回転型で、自動遠心クラッチとのマッチングはイマイチに感じた。 そこで今回はR10にしてみた。 出力特性図(緑:R10、赤:R15、青:R20)からは中低速トルクが厚くなっているのが読み取れるが、果たしてどうだろうか?

デコンプカムを使うためには、ストッパープレートCOMP.(14150-GN5-911)が必要になる。 用意するのを忘れていたのだが、かぶやさんに譲って頂いて事なきを得た。

デコンプ装備のシリンダーヘッドは、ロッカーアームが入る部分の内幅が、ストッパープレートの板厚分広くなっている。 これまたハンドリューターとヤスリで削って対応した。

セルモーターのベースとクランクケースの間に、M6ボルト用の長さ21.5mmのスペーサーが必要になる。 今回は用意できなかったので、適当な巻ブッシュとワッシャーを重ねて対処。

ギヤポジションのスイッチからは、4速+ニュートラルの5本の信号線が出ている。 ジョルカブで使用するのは4速とニュートラルの2本のみだ。 ハーネスの色も、ジョルカブと同じくピンクと緑/赤なので、ジェネレーター側の線と直接つないだ。 1〜4速とニュートラルのインジケーターを自作しても面白いかもしれない。

17Tのスプロケットを使用しても、スイッチとの干渉はなかった。

ようやくエンジンが完成したのだが、エンジンオイルを入れて車体に載せようとしたら、上側のマウントボルトが入らない。 支那エンジンでも同じことがあったので、慌てず騒がず9mmと10mmのドリルで穴を拡大した。

無事に搭載を完了し、4速とニュートラルの信号線もOK。 セルを回してみると、問題なく始動した。 そこで試走に出たのだが、シフトアップは出来るものの、シフトダウンが出来ない。 いくら踵で踏んづけても、ペダルが動かないのだ。

仕方なく再びエンジンを降ろして、Rクランクケースカバーを外してみると、シフトアームがオイルセパレーターと干渉しているのがわかった。 間違えて一次側遠心用のシフトスピンドルを使用したのが原因だった。

シフトスピンドルを交換するには、クラッチをいったん外さなくてはならない。 大急ぎで交換作業を終えて、なんとか日没までに車体に搭載することができた。

再び試走に出てみると、今度はアップ/ダウンとも問題なくシフトチェンジできる。 どうやら大丈夫らしい。

111ccエンジンも十分に力強かったが、125ccに乗ってしまうとやはり格が違うという気がする。 55.5mmというロングストロークのクランクシャフトが生み出す分厚いトルクにより、上り坂だろうが60km/hからだろうが、どこからでも加速できる。 日常ユースでは非常に安楽なのだ。

ただ、エンジンの回転数を使い切るという意味では、49.5mmストロークの方がスポーティーで楽しいと思う。 優劣というよりはキャラクターの違いといったほうがいいかもしれない。

R10カムシャフトは、狙い通り低〜中回転のトルクが出ているようで、自動遠心とのマッチングも問題ない。 デコンプの効果は正直なところよく分からないが、キック始動では重宝するのではないかと思う。

星:★★★★★

コメント:もう壊さないようにしなければ