ホンダ4st原付スクーターの系譜


年表

発売年 発表日 車名 区分 特徴
1982年 5月 7日 スペイシー 原付1種 50cc 空冷縦型3速遠心AT
10月15日 スペイシー80 原付2種
1983年 3月 7日 スペイシー125ストライカー 原付2種 リトラクタブルヘッドライト
6月22日 ボーカル 原付1種 4st初のVマチック搭載 空冷
1986年 4月 8日 タクトアイビー 原付1種 ボーカルと基本は同じ
1987年 2月 4日 スペイシー125(JF03) 原付2種
1995年 8月 4日 スペイシー125(JF04) 原付2種 発売から10年 いまだ現行車
1999年 6月 8日 ジョルノ クレア 原付1種 水冷エンジン搭載
8月 4日 ジョルカブ 原付1種 空冷横型4速マニュアル
2001年 1月22日 クレア スクーピー 原付1種 ジョルノクレアと基本は同じ
3月 9日 Dio 原付1種 基幹車種がついに4スト化
2002年 7月22日 Today 原付1種 生産は新太州本田
2003年 9月12日 スペイシー100 原付2種 生産は五羊-本田摩托
2008年 1月15日 リード 原付2種 エンジンはAirBradeと共通

ちなみに、ジュノオはM型(M80)のみ124ccで原付2種となるが、この表には含めていない。

エポックメイキングなスクーターたち

スペイシー50/80

スクーターで主流のVベルト式ではなく、「遠心クラッチ3段自動変速」というミッションを持つ。 エンジンもスーパーカブのエコノパワーベースということだが、縦型タイプでありジョルカブとの血縁関係は薄い。

4スト50ccスクーターを成立させる為の苦労の跡がしのばれるが、ジョルカブのようにスーパーカブのエンジンをそのまま載せてしまった方が簡単だったハズだ。 MTがダメというなら、シャリーの3速ATを載せるという手もあった。

そんな”安直な”手法を採らなかったのが、とにかく新しいモノにチャレンジする当時のホンダらしい(?)ところだと思う。

ボーカル

同僚に言われて思い出すまで、その存在をすっかり忘れていた。 昔の原付は、急坂を登らないなんてことも珍しくなかったが、ボーカルは輪を掛けて非力だった。 空冷4st+Vマチックという構成は、今のTodayのご先祖さまともいえる。 エコランでは、ボーカルやタクト アイビーのエンジンが活躍している(た?)らしい。

Dio

2st時代に、ヤマハJOGをスクーター王座から引き摺り下ろしたDioは、タクトに代わりホンダの原付スクーターの基幹車種となった。 タクト アイビーのようにペットネームを付けず、そのままの名称(This is)で出してきたところに、原付スクーターでも完全に4stが主流になったというホンダの宣言が読み取れる。

Today

ご存知、2005年現在の最量販車種。 ホンダ初の輸入スクーター。 最初は「安かろう悪かろうでしょ?」という受け止められ方だったが、今ではすっかり市民権を得て最もよく見かけるスクーターとなった。

ホンダとしては、最新技術を詰め込んだ水冷4stのDioやスクーピーよりも、ある意味ローテクの空冷Todayが受け入れられたというのは、忸怩たる想いがあるだろう。 低価格は強し。

まとめ

スクーターでMTというと伊Vespaが有名だが、ホンダではジョルカブが唯一の存在である。 ちなみにVespaも最近のモデルは水冷4st+CVTという構成が主流。 4速MTは昔ながらのPXシリーズ(2st)のみだ。 VespaのMTはハンドチェンジ式なので、ジョルカブのシーソーペダル式とはまた異なる。 このシーソーペダルが、ジョルカブをジョル「カブ」足らしめている、大きな要素ではないかと思う。

いくらMTだったとしても、スーパーカブ由来の横型エンジンではなかったら、ジョルカブの魅力は大きく削がれたに違いない。 動力性能やシフトショックの点で、現代の基準からすればマイナスばかりなのだが、その欠点ゆえに手を掛ける楽しみがあるのだ。

こうして見ると、ジョルカブがいかに「特異な存在」であるかがよくわかる。 また、1999年という発売年は、ジョルカブを発売する最後のチャンスだったかもしれない。 FTRやフュージョンのように、リバイバルされる可能性もなくはないが、おそらくもうこんなスクーターは発売されないだろう。 まさに「ジョルカブの前にジョルカブなし、ジョルカブの後にジョルカブなし」である。