特集:変速比について


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このページでは、ジョルカブの変速比について考える。 一次減速比のページと一緒にしても良かったのだが、とりあえず独立させてみる。

まずはおさらい

ノーマルの変速比について

ジョルカブのトータルでの変速比について確認しておく。 総合の減速比の意味は、「リヤタイヤが1回転するのに、エンジンが何回転するか」を示している。

一次 変速 二次 総合 変速幅
1速 4.058
17T/69T
3.181
11T/35T
2.357
14T/33T
30.425 3.32
2速 1.705
17T/29T
16.308
3速 1.238
21T/26T
11.841
4速 0.958
24T/23T
9.163

他車との比較

さらに、他の横型エンジン搭載車(4段変速)と比較してみる。

系統 車種 一次 1速 2速 3速 4速 二次 タイヤ径
カブ系 ジョルカブ 4.058
17T/69T
3.181
11T/35T
1.705
17T/29T
1.238
21T/26T
0.958
24T/23T
2.357
14T/33T
mm
スーパーカブC50カスタム 4.058
17T/69T
3.181
11T/35T
1.705
17T/29T
1.238
21T/26T
0.958
24T/23T
3.230
13T/42T
mm
CD90
A型
4.058
17T/69T
2.538
13T/33T
1.611
18T/29T
1.190
21T/25T
0.958
24T/23T
2.500
14T/35T
mm
CD90
H型以降
4.058
17T/69T
2.833
12T/34T
1.705
17T/29T
1.238
21T/26T
1.043
23T/24T
2.500
14T/35T
mm
C100EX
HA05
4.058
17T/69T
2.833
12T/34T
1.705
17T/29T
1.238
21T/26T
0.958
24T/23T
2.466
15T/37T
mm
C100EX
HA06
4.058
17T/69T
2.833
12T/34T
1.705
17T/29T
1.182
22T/26T
0.958
24T/23T
2.466
15T/37T
mm
Wave100 4.058
17T/69T
2.833
12T/34T
1.705
17T/29T
1.238
21T/26T
0.958
24T/23T
2.466
15T/37T
mm
Wave110
NICE110
4.058
17T/69T
2.833
12T/34T
1.705
17T/29T
1.238
21T/26T
0.958
24T/23T
2.400
15T/36T
mm
TRX90 4.058
17T/69T
2.833
12T/34T
1.937
16T/31T
1.300
20T/26T
0.958
24T/23T
3.846
13T/50T
mm
HN-T1 4.058
17T/69T
2.462
13T/32T
1.500
18T/27T
1.143
21T/24T
0.944
18T/17T
2.466
15T/37T
mm
HD-T2 4.058
17T/69T
2.385
13T/31T
1.563
16T/25T
1.211
19T/23T
1.000
20T/20T
2.466
15T/37T
mm
モンゴリ系 モンキー(6V) 4.312
16T/69T
2.692
13T/35T
1.823
17T/31T
1.300
20T/26T
0.958
24T/23T
2.583
12T/31T
mm
モンキー(12V) 4.312
16T/69T
3.272
11T/36T
1.937
16T/31T
1.350
20T/27T
1.043
23T/24T
2.384
13T/31T
mm
MAGNA 50 4.312
16T/69T
3.272
11T/36T
1.937
16T/31T
1.350
20T/27T
1.043
23T/24T
2.800
15T/42T
mm
モンキーR 4.312
16T/69T
3.272
11T/36T
1.937
16T/31T
1.350
20T/27T
1.090
22T/24T
2.466
15T/37T
mm
JAZZ 4.312
16T/69T
3.272
11T/36T
1.937
16T/31T
1.350
20T/27T
1.090
22T/24T
3.071
14T/43T
mm
武川モンキー4速クロス 4.312
16T/69T
2.615
13T/34T
1.823
17T/31T
1.350
20T/27T
1.090
22T/24T
2.384
13T/31T
mm
デイトナ モンキー4速 レーシング 4.312
16T/69T
2.133
15T/32T
1.555
18T/28T
1.350
20T/27T
1.190
21T/25T
2.384
13T/31T
mm
CD50系 CD50 4.312
16T/69T
3.272
11T/36T
1.937
17T/29T
1.350
21T/26T
1.043
23T/24T
3.230
13T/42T
mm
支那120cc
1次
3.722
18T/67T
3.272
11T/36T
1.937
16T/31T
1.350
20T/27T
1.043
23T/24T
-
mm
MD系 CT110
1次
3.722
18T/67T
2.538
13T/33T
1.611
18T/29T
1.190
21T/25T
0.958
24T/23T
3.000
15T/45T
mm

ついでに5速も。

一次 1速 2速 3速 4速 5速 二次
SP武川ロータリー5速 4.058
17T/69T
2.357
14T/33T
1.611
18T/29T
1.190
21T/25T
0.958
24T/23T
0.807
26T/21T
2.357
14T/33T

お約束

いわずもがなではあるが、お約束ということで。

何が問題か?

現状

現状のジョルカブの状態を示す。

一次 変速 二次 総合 変速幅 シフトUP
1速 4.058
17T/69T
3.181
11T/35T
1.938
16T/31T
25.017 3.32 20km/h
6,000rpm
2速 1.705
17T/29T
13.409 40km/h
6,500rpm
3速 1.238
21T/26T
9.736 60km/h
7,250rpm
4速 0.958
24T/23T
7.534 82km/h
7,500rpm

一次減速比の問題はおいといて変速比についての不満を言えば、まず一番は1速があまりにも低くて、守備範囲が狭いこと。 さらに2速とのつながりが悪いことだろう。 以下の感想は、あくまで自分の場合(96cc、体重80kg、一次:ノーマル、二次:16T/31T)。

加速時

特にボアアップ車の場合、1速があっという間に吹け上がる(引っ張りすぎるとギヤ音が煩いし、スムーズにシフトアップ出来ない)ので、発進後5mほどでシフトアップすることになる。 この時の車速は10数km/hしかなく、しかも回転数がパワーバンド下限まで落ちるため、2速での加速も鈍い。 後続のクルマに差を詰められるのがこの時。

2速が吹け上がって3速にシフトする頃にはスピードも乗り、なんとか後続との距離を保つことが出来る。 2速から3速のつながりは悪くない。 2速のスピードレンジは、10km/hから45km/hというあたり。

3速での中間加速は、一番美味しいところ。 正直言えばもう少し上にレンジが広げたいが、加速性能とのトレードオフになるだけに難しい。 二次減速比で調整した方がいいかも。 レンジは20km/hから60km/hだが、通常は40〜50km/h程度で4速に入れることが多い。

4速は一番守備範囲が広い。 30km/hから80km/h+αまでをカバーする。 流して走っている時は、4速に入れたままオートマ的に運転することも可能。

渋滞時

信号待ちなどで、クルマの後ろについてのろのろ走る場面でも、1速は低すぎてスロットル操作に神経を使う(ちょっとでも開けすぎるとギクシャクする)。 かといって2速発進だと緩慢過ぎるし、エンストの危険性もある。

登坂時

ボアアップしている場合、ゼロ発進でなければ2速でも普通の坂は上れる。 坂道発進では1速でなければ無理。

考察

上記のように、変速機はまんまスーパーカブC50カスタム(以下、C50CM)と同じである。 荷物を満載して泥濘地を走行したり、急坂を登ったりする必要があるC50CMに、このような設定が与えられているのは理解できる。 だがジョルカブの場合は、そこまで極端(過酷)な状況で使われることは少ないのではないか。

ホンダがあえて仕様変更しなかったのは、コストの問題もあるだろうが、昔の4stスクーターで「坂を上らない」という苦情が多かったからかもしれない(ジョルカブ発売時点では、まだ2stが全盛で4stスクーターは少なかった)。

で、どうする?

資金に余裕があるなら、SP武川の5速S-Touringを入れるのが一番手っ取り早い。 それだけじゃ面白くないので、4速のまま改善する方法を考えてみる。

1速

タイカブC100EXと同じ2.833に変更するのが最も一般的。 だが11%ハイギヤード化というのが微妙。 2速とのつながりでいえば、CL90/SL90(CT/MD系なので流用不可)の2.538(13T/33T)くらいがベストなのだが。

6Vモンキー用の1速(2.692)はベアリング径が異なるので流用できないが、メインシャフト端径を12mmに削れば流用可能かもしれない(15%のハイギヤード化)。 と思ったら、メインシャフト(13T)23211-098-910 は既に欠品だった。

SP武川の4速クロスとデイトナの4速ストリートの1速目(2.615)はさらにハイギヤード(18%)。 パーツとしても買えるようだが割高だ。

いずれの場合も、1速ギヤを変更するとキックギヤも交換する必要があるので注意が必要(デイトナの4速レーシングは、キックギヤが使えない)。

2速

たとえ1速が多少高くなったとしても、使えるのは発進&のろのろ運転時のみ。 実質的に、走行時のローエンドを受け持つのはこのギヤだ。 今のギヤ比(1.705)より低くなると3速とのつながりが悪くなるし、高くなると登坂が苦しくなる可能性がある。 よって現状維持。

3速

現状(1.238)より低くする方向は考えられないが、高く(C100EXの1.182)してレンジを上に広げるのはアリ。 だが、中間加速の力強さが犠牲になる可能性もある。 これまた現状維持だろう。

4速

オーバードライブ設定の4速だが、一次減速比が大きい&タイヤが小さい関係で、これでもまだギヤ比が大きい。 0.958より小さい設定はないので、現状のままとなる。

変更後

案1

一次減速比を3.722に変更(全体に8%ハイギヤード化)して、さらに1速をC100EXと同じ(2.833)にした場合はこうなる。

一次 変速 二次 総合 現状比 変速幅 シフトUP
1速 3.722
18T/67T
2.833
12T/34T
1.938
16T/31T
20.435 +18.4% 2.96 20km/h
5,000rpm
2速 1.705
17T/29T
12.299 +8.3% 40km/h
6,000rpm
3速 1.238
21T/26T
8.930 +8.3% 60km/h
6,500rpm
4速 0.958
24T/23T
6.910 +8.3% 89km/h
7,500rpm

実際に走ってみないとなんとも言えないが、2〜4速が+8%というのはちょっと影響が大きいかもしれない。

案2

ただ、31Tの社外品ドリブン・スプロケットの磨耗が激しいので、33Tの純正品を使いたい。 ドライブを16Tのままにした場合(全体に6.5%ローギヤード化)は、以下のようになる。

一次 変速 二次 総合 現状比 変速幅 シフトUP
1速 3.722
18T/67T
2.833
12T/34T
2.063
16T/33T
21.753 +13% 2.96 20km/h
5,250rpm
2速 1.705
17T/29T
13.092 +2.4% 40km/h
6,500rpm
3速 1.238
21T/26T
9.506 +2.4% 60km/h
7,000rpm
4速 0.958
24T/23T
7.356 +2.4% 83km/h
7,500rpm

2、3速もほんのちょっと速くなって、なかなかいい感じだ。 これぐらいなら坂も上れるだろうし、悪影響はないと思う。 ただ、4速は現状でもエンジンが回りきっていない感じなので、よりO.D.的性格が強くなるかもしれない。 最高速アップには、排気系などさらなるチューンアップが必要になるだろう。

案3

案2の4速をCD90(1.043)に変更したもの。

一次 変速 二次 総合 現状比 変速幅 シフトUP
1速 3.722
18T/67T
2.833
12T/34T
2.063
16T/33T
21.753 +13% 2.716 20km/h
5,250rpm
2速 1.705
17T/29T
13.092 +2.4% 40km/h
6,500rpm
3速 1.238
21T/26T
9.506 +2.4% 60km/h
7,000rpm
4速 1.043
23T/24T
8.009 -6% 76km/h
7,500rpm

最高速は伸びないだろうが、4速でエンジンが回りきるので、最高速到達時間は短くなるハズだ。

案4

排気量が120ccになったので、2案から二次減速をドライブ17T、ドリブン33Tに変更した。

一次 変速 二次 総合 現状比 変速幅 シフトUP
1速 3.722
18T/67T
2.833
12T/34T
1.941
17T/33T
20.467 +18.2% 2.96 20km/h
5,000rpm
2速 1.705
17T/29T
12.318 +8.1% 40km/h
6,000rpm
3速 1.238
21T/26T
8.944 +8.1% 60km/h
6,500rpm
4速 0.958
24T/23T
6.921 +8.1% 88km/h
7,500rpm

排気量(ストローク)増大でトルクがアップしたので、これでも4速で坂道を加速するなど余裕がある。 反面、レブリミットも低くなっているので、最高速は伸びていない。

案5

4案からドリブンスプロケットを31Tに変更した場合。 これが現状取りうる最もロングな構成。

一次 変速 二次 総合 現状比 変速幅 シフトUP
1速 3.722
18T/67T
2.833
12T/34T
1.824
17T/31T
19.233 +23.1% 2.96 20km/h
4,600rpm
2速 1.705
17T/29T
11.575 +13.7% 40km/h
5,600rpm
3速 1.238
21T/26T
8.405 +13.7% 60km/h
6,000rpm
4速 0.958
24T/23T
6.504 +13.7% 94km/h
7,500rpm

支那カムから12V用ハイカムに変更すれば、この構成でもいけるかもしれない。

案6

4案から3速をC100EX(HA06)の物に変更した場合。 結局、1〜4速までHA06と同じになる。

一次 変速 二次 総合 現状比 変速幅 シフトUP
1速 3.722
18T/67T
2.833
12T/34T
1.941
17T/33T
20.467 +18.2% 2.96 20km/h
4,900rpm
2速 1.705
17T/29T
12.318 +8.1% 40km/h
6,000rpm
3速 1.182
22T/26T
8.539 +12.3% 60km/h
6,350rpm
4速 0.958
24T/23T
6.921 +8.1% 88km/h
7,500rpm

狙いは3速の守備範囲の拡大にある。 120ccだとトルクがありすぎて、3速でさえ一瞬でシフトアップしてしまい、4速で走ることが多くなる。

案7

6案から、二次側クラッチ化で一次減速比が4.058に戻ってしまったので、ドリブンスプロケットを31Tにして二次減速比を高めた状態。

一次 変速 二次 総合 現状比 変速幅 シフトUP
1速 4.058
17T/69T
2.833
12T/34T
1.824
17T/31T
20.969 +16.2% 2.96 20km/h
5,000rpm
2速 1.705
17T/29T
12.620 +5.9% 40km/h
6,100rpm
3速 1.182
22T/26T
8.749 +10.1% 60km/h
6,500rpm
4速 0.958
24T/23T
7.091 +5.9% 87km/h
7,500rpm

純正ベースでできるのはこれが限界。